よくあるご質問
皆様よりご質問いただきました内容を「よくあるご質問」にまとめています。お問い合わせいただく前にぜひご活用ください。
企業情報
- 会社設立はいつですか?
- 2001年12月21日設立です。詳しくは「会社概要・沿革」をご参照ください。
- 社名の由来は何ですか?
- 「会社概要・沿革」の社名の由来をご参照ください。
- 設立の経緯を教えてください。
- 2001年設立当時はNK4(HGFタンパク質の部分断片)の開発を目指していました。
その後、2005年からHGFタンパク質の開発に着手しました。 - 創業からここまで時間がかかった理由を教えてください。
- HGFタンパク質を医薬品グレードで製造する体制を構築した上で、国内外で臨床試験を実施し、開発後期(レートステージ)まで自社で開発を進めてきました。
途中、リーマンショックの影響もありましたが、国からの補助金等を活用して開発を継続することができました。 - ビジネスモデルについて教えてください。
- HGFタンパク質の製造をプラットフォームとし、①自社開発・販売モデル、②導出・共同開発モデル、③原薬供給モデルのハイブリッドで事業展開を行います。主に希少疾患を対象に自社開発することを基本方針とし、最終的には自立したバイオ製薬企業として①を目指します。
これにより、中長期的な自社の収益を最大化いたします。 - 公告の方法を教えてください。
- 当社は電子公告により行います。「電子公告」をご参照ください。
なお、当社は有価証券報告書提出会社であるため、決算公告の開示は省略しています(会社法第440条第44項)。 - ロゴマークの由来は何ですか?
- 当社が開発しているHGFタンパク質は、クリングル構造と呼ばれる特徴的な構造を4つ持ちます。当社のロゴマークは、HGFタンパク質の4つのクリングル構造をモチーフにしています。
株式情報
- 株式が上場したのはいつですか?
- 2020年12月28日です。
- 上場取引所はどこですか?
- 東京証券取引所グロース市場です。
- 設立の経緯を教えてください。
- 2001年設立当時はNK4(HGFタンパク質の部分断片)の開発を目指していました。
その後、2005年からHGFタンパク質の開発に着手いたしました。 - 証券コードは何番ですか?
- 4884です。
- 取引の単位(1単位)は何株ですか?
- 100株です。
- 株主総会はいつ開催されますか?
- 毎年12月に開催いたします。
- 株主優待制度はありますか?
- 現在、設けておりません。
- 株主名簿管理人を教えてください。
- 株主名簿管理人は三菱UFJ信託銀行株式会社です。
詳しくは「株式情報」をご参照ください。 - 株式の名義書換・住所変更などの手続きはどうすればよいですか?
- 株式に関する各種お手続は、取引口座を開設されている証券会社などにお申し出ください。
決算・財務関連
- 今後の資金調達の方針について教えてください。
- 現状、国内の脊髄損傷急性期及び声帯瘢痕の承認申請・取得までの開発費につきましては既に確保済みです。また2024年5月に完了した資金調達により、米国での脊髄損傷急性期の開発準備資金等も確保済みとなります。
資金調達は当然ながら、新たな資金が必要になった際に、考え始めるものだと思います。一義的には、上市後の製品売上や各種提携による契約一時金・マイルストーン収入等で必要資金を確保するべきだと考えています。一方で、米国での脊髄損傷急性期の開発やHGFタンパク質の製造開発、新規パイプラインの創製等で、今後色々な資金需要が想定されますので、必要資金の大きさ、開発案件の進捗スピード、将来の収益性を総合的に検討したうえで、自社での資金調達を選択する可能性はあると考えております。 - 決算期はいつですか?
- 9月30日です。
- 決算発表はいつですか?
- 「IRカレンダー」をご参照ください。
- 最新の決算情報を教えてください。
- 「IRライブラリー」をご参照ください。
- 四半期ごとに事業進捗を確認できますか?
- 事業進捗に応じて、四半期もしくは半期ごとに決算説明会を開催する予定です。
- 黒字化はいつ頃になりますか?
- 2026年9月期以降の脊髄損傷急性期治療薬の上市による恒常的な製品売上により黒字化達成を目指しています。
- 中長期的な経営戦略を教えてください。
- 中期的には、脊髄損傷急性期に対する第Ⅲ相試験を完遂し薬事承認を取得することを最優先いたします。また、ALSやその他の難治性疾患への適用拡大ならびに各パイプラインの海外展開を図り、HGFの価値を最大化いたします。長期的には、HGFの次のシーズを導入し開発を進めながら、自社で開発から販売までを一貫して手掛ける体制を整備いたします。最終的に当社は、「希少疾患」や「バイオ医薬品」に強みを持つ製薬企業へと成長することを目指します。
研究開発情報 脊髄損傷急性期(SCI)
- 脊髄損傷急性期の国内での申請状況はいかがでしょうか?承認申請はいつ頃になりそうでしょうか?また、PMDAから追加の治験実施等を求められてはいないのでしょうか? 承認申請した後、承認がおりるまでの審査期間はどのくらいを見込んでいますか?
- 承認申請に向けての大まかな論点整理が行われる「事前面談」は終了し、その次の段階、すなわち具体的な申請書類等の内容を確認する「申請前相談」の段階に進むことをPMDAと合意し、申請前相談の日程も確定しました。
全社を挙げて申請準備を進めておりますので、現時点では、2025年3月には申請できるのではないかと考えております。なお、PMDAからは、申請の要件として追加の治験実施等は求められておりません。本品目はオーファン指定を取得しておりますので、優先審査の対象となります。PMDAによりますと、通常品目の審査期間の中央値が12か月であるのに対し、優先品目では9か月に短縮されるとのことです。 - 脊髄損傷急性期において、当面対象となる患者数はどの程度を想定していますか?年間当たりの投与患者数のイメージがあれば共有をお願いいたします。また現状既存薬がない中で、価格の面ではどのような考え方をしておくべきでしょうか?
- 国内で新たに脊髄損傷になる患者数は年間6,000人と言われています。
この6,000人は重症度がAの方からDの方まで全て含まれますが、HGFは、重症度Aの患者さんにしか効かないと言うわけではなく、すべての脊髄損傷の患者さんに有効だと考えております。PMDAとの協議の中で、最初は重症度が限定される可能性もありますが、最終的には全ての重症度の患者さんに適応拡大していきたいと考えています。
薬価につきましては、HGFはバイオ医薬品となりますので、いわゆる低分子医薬品とは違い、ある程度は高い薬価が期待されます。比較するところとしましては、抗がん剤の抗体医薬などになろうかと思います。一方で、細胞治療のように1回で数千万円という高価なものにはならないと考えております。どこでも、だれでも、保険の範囲で使用できる医薬品になると考えております。 - AIS分類のAからBへの改善は、「臨床的に意味のある改善」と言えるのでしょうか。
- 第Ⅲ相試験においては自然回復例を出来るだけ除くために、72時間時点で最も重度なAIS Aの頚髄損傷患者を対象としました。
AからBへの改善はHGFによる二次損傷の抑制や脊髄神経保護効果を示しており、受傷後早期に投与することやAIS BやCのより損傷が軽度な患者では更に効果が高くなることが推測されます。一方で、頚髄損傷完全麻痺Aの患者がBの感覚不全麻痺に改善することで、全身の病態や異変に気付くことができるようになります。
実際に、Bの患者はAに対して褥瘡の発生率が低下することが報告されています。AIS Aの完全麻痺のまま慢性期に移行しますと、その後の回復はほとんど見込めませんが、急性期にHGFを投与することでAIS Bの不全麻痺に改善できれば、その後のリハビリテーションや将来的には細胞治療により、更にAIS C以上に改善する可能性も残されます。従いまして、AIS AからBへの改善は、「臨床的に意味のある改善」であると言えます。 - 通常の承認を目指すのでしょうか、条件付き承認となる可能性はあるのでしょうか。
- 当局との相談次第になると考えます。通常の承認でも条件付き承認でも申請資料は同じですので、当社としましては、当局の了承が得られ次第速やかに承認申請できるよう、準備を進めてまいります。
- 欧州、米国のデータベースとの比較でも、第Ⅲ相試験のAIS分類AからBへの改善は、統計学的有意差があると言えるのでしょうか。
- 現在まだ解析中でありますが、有意差はつくのではないかと考えております。
- 今回の国内第Ⅲ相試験の結果で、米国での臨床開発を進めることはできるのでしょうか。
- 今回の第Ⅲ相試験では、患者背景に関して非常に有益なデータが得られました。今回の結果を参考にして米国での臨床試験を計画することにより、開発の成功確度を更に高めることができると考えます。一方で、米国での脊髄損傷受傷背景は、日本とは異なるところもあるため、プロトコールは全く同じにはならないと考えております。
- 現在の脊髄損傷急性期の米国での開発状況について教えてください。
- 2023年11月のFDAからのPre-INDミーティングに対する回答に基づき、現在IND申請に向けて、北米の専門医(キーオピニオンリーダー、KOL)やコンサルタントと治験デザインの協議を進めております。更にFDAとType C meetingを実施し、IND申請にかかる追加質問を行い、2024年9月にFDAから回答を受領しました。これらのFDAからの回答を踏まえ、治験デザインはもとより承認申請までの開発計画に関して協議を継続しております。
- 今回の第Ⅲ相試験の結果の学会発表はいつでしょうか。
- 総括報告書は2024年内に最終化する予定です。その後、論文発表や学会発表を行うこととなります。論文投稿先や発表学会、具体的な時期等についてはまだ確定しておりません。
- 受傷後72時間経ってから患者の状態を評価し、投薬を行っているかと思います。72時間経たないと患者の評価が正確に判断できない、よって、それより以前に薬を投与すると、急性期の脊髄損傷の患者がどの程度重症かがわからないために、投薬せずに治ったのか、薬剤が有効だったのかを評価できない。そのため、72時間後に投与しているのでしょうか?
- 受傷後72時間に重症度がAIS分類Aであることを確認し初回投与を行う治験デザインを設定した理由については、ご推察の通りです。脊髄損傷の受傷直後から約72時間までは、脊髄ショックという一時的に脊髄反射が消失する状態が起こる可能性があります。脊髄ショック状態にある時期に投薬を行うと、運動・感覚機能が回復しても、脊髄反射が戻ったための自然回復なのか薬剤の効果によるものか判断できないために受傷後72時間後の重症度判定を設定しています。
- 急性の疾病(心不全や脳梗塞など)の患者に対しては受傷後すぐに治療を行わないと予後が悪いと認識しているのですが、脊髄損傷に関してもそうですか?もし、すぐに薬剤を投与すれば、患者のAIS分類はAからC、もしくはそれ以上になる割合が増える可能性があるということでしょうか?
- ご指摘の通り、HGFには受傷直後から発生する炎症を抑制する効果があることから、早く投与できればより高い効果が得られると考えています。しかしながら、脊髄ショックの影響を避けながら効果が適切に評価できる治験デザインとして、あえて72時間後の初回投与を設定しています。
- 今回の治験では、臨床試験のため治療を遅らせるということを行なってるということになるかと思うのですが、倫理的には特に問題ないのでしょうか。
- 上記の通り、薬剤の効果を適切に評価するために本治験デザインを設定し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と合意しています。令和元年に厚生労働省が作成した「急性期脊髄損傷の治療を目的とした医薬品等の臨床評価に関するガイドラインについて」(令和元年5月8日付け、薬生薬審発0508第1号/薬生機審発0508第1号)においても、急性期脊髄損傷を対象とする場合には、脊髄ショックを考慮した適切な介入時期を設定するように記載されています。当社としましても患者様のためには可能な限り早く投与したいという思いはございますが、現時点では臨床試験の段階であり、安全性と有効性を検証することを目的とした試験デザインを設定しましたことにご理解をいただきたく存じます。
- 今回の治験のデザインは、薬剤にとって不利な条件と論文にも書かれていましたが、第Ⅰ/Ⅱ相試験では改良Frankel分類Aの方がCに改善された方が26.7%いらっしゃいます。同じような治験デザイン(もしくは治療)で、過去に、これほどまで改善された例は国内、海外ともにあったのでしょうか?
- 脊髄損傷では、治療をしなくても自然に機能が回復する症例があります。このような自然回復例が治験に組入れられると薬剤の効果が評価できないために、当社は自然回復が極めて少ない完全麻痺患者(AIS分類Aあるいは改良Frankel分類A/B1/B2)を対象としました。完全麻痺患者は患者数が少なく、症例管理も厳しいため、このような厳しい条件で行われた他の薬剤の治験は殆どありません。一方で、海外の過去の患者情報では、受傷時の頚髄損傷AIS分類Aの患者がC以上に改善する割合は10%程度と複数の報告があります。
- 第Ⅰ/Ⅱ相試験のASIA motor scoreは168日経っても変わらなかったが、副次評価項目の経時的推移に140日で有意差を認めたとホームページの記述があります。ASIA motor scoreの評価シートを確認しましたが、感覚レベル、運動感覚、運動レベルとかなり細かく検査する印象を受けました。第Ⅰ/Ⅱ相試験はASIA motor scoreにて全体的に検査すると、あまり変わらなかったが、下肢の機能に関しては140日にて改善されていたという認識で合っていますか?
- ASIA motor scoreはご指摘のISNCSCIアルゴリズムのシートのmotor key muscleの左右の上肢5か所、下肢5か所の合計で算出されます。一般に再獲得した運動機能は維持されると考えられますが、評価時の患者さんの状態によっては点数が減少する可能性も否定できません。ASIA motor score全体の有意差は140日時点で得られましたが、168日時点では微妙な差によって有意差が消失したと考えております。しかし、84日目以降はp<0.1で一貫した差を認めており、有効性は示唆されたと考えております。
- 頸部の脊髄損傷は、頸部より下の身体の麻痺が残ると認識しています。上肢、下肢ともに動かなくなる、また、排便機能も失われ、それが一生続くということが普通だと思っていますが、治療をすることによって、下肢の機能にだけ改善がみられるということは今までの治療、治験の中であったのでしょうか?むしろ上肢の機能の方が、首に近いので改善しそうなイメージなのですが、いかがでしょうか?
- 日本の脊髄損傷患者の特徴として、高齢者の非骨傷性脊髄損傷が多いことが挙げられます。加齢に伴い脊柱管が狭くなると、ちょっとした転倒でも外圧によって骨折を伴わない頚髄損傷が起こるのですが、このような場合の多くは中心性頚髄損傷(脊髄の中心部分が強く損傷を受ける)となります。第Ⅰ/Ⅱ相試験では中心性頚髄損傷患者が多かったのではないかと考察しています。組織学的に頚髄の運動神経は、内側が上肢、外側が下肢と配置されていると考えられており、中心性頚髄損傷患者は内側、つまり上肢の運動神経が強く障害を受けます。第Ⅰ/Ⅱ相試験では、HGF投与によって、障害の程度の少なかった外側(下肢)部分がレスキューされた結果、大きな下肢運動機能回復が検出されたと考えます。受傷直後に投与できれば、中心性頚髄損傷の内側部分もレスキューされ、上肢運動機能の回復も期待できると考えております。
- 第Ⅲ相試験はAIS分類のAの患者がCになる割合を評価する治験になるかと思います。AIS分類のみに絞った理由はどういったものになりますか?
- 脊髄損傷の発生頻度は少ないため、大規模の試験を実施することは難しいと考えています。そこで、効率的な試験デザインを策定するために、PMDAと相談しながら、主要評価項目を重症度改善と設定しました。その他、副次評価項目では、運動機能改善、感覚機能改善、日常動作性の改善などを設定しており、様々な機能回復効果を評価することにしています。
- 脊髄損傷に関して、細胞治療とHGFの違いを教えてください。
- HGFタンパク質は細胞治療とは異なり、受傷直後の急性期に使用可能であり、使用する医療機関が限定されません。また、HGFタンパク質の薬価は、細胞治療に比べれば安価になることが想定されます。
- 脊髄損傷はどのような患者様を対象に開発を進めていますか?
- 脊髄損傷治療においては、受傷直後に起こる炎症反応等によって損傷部分が拡大する現象(二次損傷)を抑制することが非常に重要であり、多くの脊髄神経が残存することが運動機能の回復に繋がります。HGFには脊髄損傷急性期に起こる二次損傷を抑える作用があり、当社はまずは急性期を対象に医薬品開発を進めています。一方、HGFには軸索進展の促進など神経を再生する作用もあるので、他の治療手段と併用することにより、急性期はもとより慢性期治療への応用の可能性があります。この可能性を探求するために、当社は現在、慶應義塾大学と共同研究を実施しています。(「2021年2月10日付けニュースリリース」をご参照ください)。
- 脊髄損傷を対象とする既存薬と比較した場合のHGFの特徴はどこにありますか?
- HGFの特徴として、安全性・忍容性が高いと考えられること、脊髄損傷受傷直後より投与可能な製剤の利便性を持つことがあげられます。
- 脊髄損傷急性期の患者数はどの程度でしょうか?
- 毎年、日本では約5,000人、世界では約60,000人の方が脊髄損傷を受傷されています。
- 出典:
- 坂井宏旭ら「わが国における脊髄損傷の現状 」(2010)
総務省統計局「世界人口の推移」
"Spinal Cord Injury Facts and Figures at a Glance (2019)"
- オーファンドラッグのメリットは?
- 希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されますと、助成金の交付、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との優先対面助言や相談手数料の減額、通常品目に比べて承認申請の審査期間が短縮される優先審査、再審査期間の10年間の延長等を受けることができます。
研究開発情報 声帯瘢痕(VFS)
- 声帯瘢痕のオーファン指定の申請状況はどうなっていますか?
- オーファン指定の申請に関しましては、2024年1月にオーファン指定制度の指定範囲拡大の通知が厚労省より出され、致死的な疾患のほか、著しく生活の質を落とす状態が長期的に継続する疾患も指定対象となりました。
加えて、関連学会である日本喉頭科学会から「声帯瘢痕診断基準」が2024年11月6日に公表されましたので、2025年前半には再度厚労省とオーファン指定相談を行うべく準備を進めてまいります。 - 声帯瘢痕の第Ⅲ相臨床試験の進捗状況及び今後の見通しは、どうなっていますか?
- 治験実施施設を1施設追加し、2024年中の組入れ完了を目指してまいりましたが、当初の想定よりも症例組入れに時間がかかっており、年内の組入れ完了は困難な状況となりました。そこで、2025年1月に新たにあと2施設の追加を行い、リクルーティング活動の更なる強化を行いながら患者募集を継続してまいります。現時点では、2025年6月までには組入れを完了し、2026年前半での経過観察終了を目指してまいります。
研究開発情報 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- ALS第Ⅱ相試験の追加解析について、解析後の予定が「提携パートナーによる開発」となっていますが、自社で条件を変えて第Ⅱ相試験をやり直す可能性はありますでしょうか?
- 現在、東北大学で準備が進められております追加解析の結果を受けまして、治験デザインや実施体制を含めた次の開発戦略を策定する予定です。
- ALS第Ⅱ相試験の追加解析の結果により発生し得る効果は何が想定できますでしょうか? 追加の臨床試験など考えられるのでしょうか?
-
追加解析によって、治療効果の高い患者層を推定できれば、治験患者の組入れ基準を再設定し次の臨床試験を計画することができます。ALSの病態は多様であることが知られていますので、さらに薬の効果が発現しやすい患者層を選定した臨床試験を行うことにより開発の成功確度が高くなることが期待されます。
以下、その様な事例を列挙させていただきます。当社といたしましては、同様の可能性を追求すべく追加解析に取り組みたいと考えています。
田辺三菱製薬株式会社のエダラボン(既承認、製品名:ラジカット)
エダラボンは日本でALSを対象に薬事承認されていますが、田辺三菱製薬株式会社は承認申請前に第Ⅲ相試験を2回実施しています。1回目の第Ⅲ相試験では主要評価項目に統計的な有意差は認められませんでしたが、追加解析によって治療効果の高い患者層(ALS重症度分類1・2、努力性肺活量 80%以上等)を特定し、2回目の第Ⅲ相試験ではそのような患者だけを組入れることにより統計的な有意差を達成し薬事承認に至りました。エーザイ株式会社のメコバラミン(第Ⅲ相終了)
エーザイ株式会社は、かつてALSに対する第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施いたしましたが、主要評価項目が未達となりました。しかしながら、追加解析によってALS発症後12か月以内に治療を開始した患者に対しては有効性が示唆されたことから、発症後1年未満のALS患者を対象として第Ⅲ相試験(医師主導治験)を実施し、良好な結果が得られたことから、同社は2023年度中に承認申請を行う予定であることを発表しています。 - ALSでの第Ⅱ相試験について、追加解析する主な目的は何でしょうか? 東北大学からの速報ではプラセボとの有意差はないという結果でしたが、この追加解析することで、有意差があるという結果になるのでしょうか?
- ALS第Ⅱ相試験の追加解析は、治験の症例を様々な背景因子(切り口)によりサブグループに分け、サブグループごとの治療効果を推定するために実施いたします。追加解析はプロトコール(あらかじめ定められている治験計画)には規定されていませんので、事後解析とみなされます。事前にプロトコールで定めた評価項目について有意差がなかったという結果が変わるわけではありません。
- ALS追加解析結果のおおよその時期について、教えてください。
- 現在、ALS第Ⅱ相試験の患者様の検体を用いて、神経変性や神経炎症のバイオマーカーを測定し、HGF投与による効果の検討を進めております(東北大学との共同研究)。
現時点では、2025年3月には解析を終えられるのではないかと考えております。 - 第Ⅰ相試験の ALSFRS 値について教えてください。
- 第Ⅰ相試験は、安全性と薬物動態を調べる試験としてデザインされており、ごく初期のALS 患者様を組入れました。組入れた患者様のALSFRS値は48点満点の41点から 45点までの間であり、第Ⅰ相試験期間中はほとんど変化がありませんでした(以上は論文(Waritaら、2019年)として公表しています)。
現在実施中の第Ⅱ相試験は有効性を検証する試験としてデザインされており、ALSFRS 値の変化を検出できるように、症状がある程度進行しているALS患者様を組入れています。 - ALSの患者数はどの程度でしょうか?
- 日本では約9,800人、世界では約85,000人の方がALSと言われています。
- 出典:
- 平成30年度末現在 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数
"Arthur et al. Nature Communications (2016)"
- ALSを対象とする医薬品が多数開発されていますが、それらと比較した場合のHGFの特徴はどこにありますか?
- ALS患者様の約10%は特定の遺伝子の変異により発症しますが、残りの約90%は遺伝子変異を伴わない様々な生体内因子の異常によって引き起こされることが明らかになりつつあります。ALSの発症原因は多様であるため、特定因子を標的とした治療薬の開発には課題があります。HGFの特徴は、発症原因に関わらず運動神経の細胞死を抑えることにあります。さらに、運動神経だけでなく、まわりの支持細胞(ミクログリア、アストロサイト)にも作用し、神経炎症を抑える働きやグルタミン酸毒性を軽減する働きもあります。ひとつの物質で神経系全体にマルチな働きを発揮することは、他の医薬品と比べてHGFの優れた点であると考えています。
研究開発情報 その他
- 協業先であるクラリス・バイオセラピューティクス社が実施している神経栄養性角膜炎に対する第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験のトップラインデータが遅れている理由は何でしょうか?
- 米国の臨床試験データベースClinicalTrials.govには、クラリス社の治験として次の3件が登録されております。
- ・神経栄養性角膜炎に対する第Ⅰ/Ⅱ相試験 (終了)
- ・角膜上皮幹細胞疲弊症に対する第Ⅰ相試験 (実施中)
- ・角膜瘢痕に対する第Ⅰ相試験 (実施中)
- HGFタンパク質製造の効率・拡大化に向けたクラリス・バイオセラピューティクス社との協業の現在までの状況を教えてください。
- 当社が米国で開発を進めている脊髄損傷急性期や今後の適応拡大、並びにクラリス社が進めている眼科領域に費消されるHGFタンパク質原薬の総量は、非常に膨大になることが想定されており、両社ともにより効率的な原薬製造の開発が必要とされています。この共通の目標を達成するために、当社とクラリス社は2023年9月より協業を開始しました。これまでにHGFタンパク質を高発現する細胞株の作製に成功し、培養工程及び精製工程を最適化したうえで小規模での試作製造もすでに完了しております。現在はその試作製造品に対する各種品質試験を実施しているところとなります。今後の展開につきましては、状況が判明次第適宜お知らせしていければと思っております。
- 脊髄損傷急性期、声帯瘢痕、ALSの投与に使用しているHGFは全て全く同じ組成の化合物でしょうか?
(症例によって、成分等違いがあるものなのでしょうか?) - 対象疾患によって投与量は異なりますが、いずれの治験においても、当社が保有する製剤特許に基づいた同じ溶液組成の治験薬を使用しています。今後、他の疾患においては、各投与方法に適した組成を用いる可能性があります。なお、一般的に「化合物」と呼ばれる薬剤とは異なり、HGFはより高分子な組換えタンパク質です。(組換えHGFタンパク質は、ヒトのHGF遺伝子を組換えた細胞を培養しながら発現させ、その後、精製工程によりHGFタンパク質以外の余分な成分を除きます。精製された組換えHGFタンパク質を製剤特許の溶液組成に調製し、治験薬として使用しています。)
- HGFタンパク質の外販拡大の取り組みについて、教えてください。
- 現在、治験薬としてHGFタンパク質を外販していますのは、米国クラリス・バイオセラピューティクス社(以下クラリス社)のみとなっています。
その他内国外を問わず、多くの大学研究機関に研究用試薬として原薬を提供させていただいたり、供給のオファーをいただいたりしていますが、まだ、企業による治験まで進んでいる案件はクラリス社のみとなっています。
今後、提供先の新たな治験実施に向けた交渉につきましても、引き続き進めてまいります。 - 自社にHGFの製造設備がありますか?
- 自社では製造設備を保有しておりません。GMP準拠(医薬品グレード)で製造できる会社(医薬品製造受託機関)に委託しています。
- HGFは特許で守られていますか?
- HGFの物質特許はすでに失効していますが、用途特許や製剤特許に加えて、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定による再審査期間の延長※(日本では10年間)、さらにHGFタンパク質の製造ノウハウもあわせて多面的な参入障壁を構築しています。
※再審査期間の延長:この間後発品は、承認申請の際に、新薬同様の資料を求められるため、新薬の開発企業のみが市場供給を行う場合が多くなります。 - 創薬において、提携や共同企画、連携している研究機関や企業はありますか?
- 大学との共同研究・連携先として、慶應義塾大学、東北大学、大阪大学、京都府立医科大学、金沢大学、京都大学、東京医科歯科大学、岐阜大学などがあります。
脊髄損傷急性期を対象とした製品について、丸石製薬株式会社(販売およびプロモーション)、東邦ホールディングス株式会社(卸売・流通)と業務提携を行っています。 - 創薬ベンチャーのビジネスモデルはライセンスアウトするのが一般的ですが、自社開発を目指すのはなぜですか?
- 自社での開発をできるだけ進めることは、将来の自社の収益を最大化することにつながります。開発資金を自社で確保する必要がある点はトレードオフになりますが、希少疾患を対象として小規模な臨床開発を行うこと、公的な補助金を最大限に活用する等により対応可能であると考えます。また、当社は、長期的には自社で開発から販売までを一貫して手掛けるバイオ製薬企業へと成長することを目指します。自社開発による経験とノウハウを蓄積することは、自社の開発力強化にもつながります。
- パイプラインの優先順位は何を基準に決めているのでしょうか?
- パイプラインの優先順位は、非臨床試験・臨床試験データ、開発費用、市場規模、競合製品、社内リソース等を総合的に検討し判断しています。
- HGFタンパク質製剤は、再生医療等製品と同じカテゴリーでしょうか?
- 我が国の薬機法で定める「再生医療等製品」は、遺伝子治療薬もしくは細胞治療薬を指します。当社が開発している組換えヒトHGFタンパク質は、遺伝子治療薬や細胞治療薬ではありませんので、「再生医療等製品」ではなく通常の「医薬品」扱いとなります。
- HGFタンパク質の医薬品とHGF遺伝子治療薬は何が違うのでしょうか?
- 投与する物が一方はタンパク質、他方は遺伝子、という違いがあります。HGFタンパク質はHGF遺伝子から作られます。HGF遺伝子を投与して、体の中でHGFタンパク質を作るようにするのがHGF遺伝子治療薬です。これに対して、体の外(工場や研究所など)でHGF遺伝子からHGFタンパク質を作って投与する、というのがHGFタンパク質の医薬品です。治療に直接影響するのはHGFタンパク質ですが、病気の種類に応じてHGF遺伝子治療薬とHGFタンパク質の医薬品の使用が選択されるようになると考えられます。
- HGFタンパク質の物質特許がなく世界中の企業がHGFタンパク質を製造、医薬品開発できるのであれば、貴社の強みはどこにありますか?
- 当社の強みは、非常に複雑な構造を持つHGFタンパク質を医薬品グレードで量産する体制を構築していること、加えて、製造したHGFタンパク質の臨床試験を国内外で実施し、ヒトでの安全性・薬物動態に関するデータを膨大に蓄積していることです。さらには、用途特許や製剤特許を保有すること、先発権※を確保することにより、複合的な参入障壁を築いている点も当社の強みと考えています。
※先発権:日本では、新有効成分医薬品なら8年間の再審査期間が設けられ、この間は、同一成分の他社品が承認されることはない。これを先発権と称し、特許とは別の枠組みで独占が許される。なお、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定を受けると再審査期間が10年間に延長されます。 - HGFタンパク質の医薬品開発をしている競合企業は日本、世界に多くありますか?
- 公表されている限りでは、当社がオンリーワン企業であると理解しています。なお、米国のクラリス・バイオセラピューティクス社は当社の提携先であり、当社が提供するHGFタンパク質を用いて眼科疾患を対象に医薬品開発を進めていますので、競合企業とは考えておりません。
- HGFタンパク質製剤は全身投与型の静脈注射ですか?それとも局所(患部)に外科手術をしながら注射するのでしょうか?あるいは、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を活用していますか?
- 当社では、対象疾患に応じてHGFタンパク質の投与ルートを選択しています。脊髄損傷急性期やALSに対しては脊髄腔内に投与いたします。声帯瘢痕に対しては声帯内に局所投与いたします。急性腎障害に対しては静脈内に投与いたします。いずれのパイプラインにおいても現時点ではDDSは使用しておりません。
- HGFタンパク質製剤はファーストインクラス、ベストインクラスのどちらのコンセプトになりますか?
- 当社のHGFタンパク質は新規性、有用性、画期性に鑑みて、先行する類似薬のないファーストインクラスであると考えています。
- 急性腎障害に対する第Ⅱ相臨床試験はいつ開始予定でしょうか?
- 第Ⅱ相試験は、比較的大規模なプラセボ対照二重盲検比較試験になることが想定されており、製薬企業等と提携し開発資金を確保した上で開発を進める方針としています。 2021年5月末時点において、第Ⅱ相試験の開始時期は未定です。
- パイプラインについて、自社開発でなくパートナーを探して開発するという説明のものがあります。もし相手が見つからない場合は資金調達をして自社開発する可能性もあるのでしょうか?
- 現時点でパートナーを探して開発する予定としていますパイプラインは、大規模な症例数での臨床試験が必要になると想定しています。
一方、疾患の基礎研究の進歩、診断技術の開発などがありますと、治験のデザインは変えられる可能性が考えられます。パートナーを探しながらも、治験デザインの見直しを行うとともに、競合品の開発動向を調査する等して、パートナーが見つからない場合の開発方針を検討しています。