よくわかるクリングルファーマ
クリングルファーマ株式会社のビジョンや強み、
ビジネスモデルなどをわかりやすくご紹介します。
どんな会社?
- 企業理念
- 難治性疾患治療薬の研究開発を行い、難病に苦しむ患者さんに対して
画期的な治療手段を提供し、社会に貢献すること
私たちは、組換えヒトHGFタンパク質の研究開発によって創薬イノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに経営資源を集中し、事業展開をしています。
希少疾患を主な対象疾患とし、臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社開発により自社で医薬品製造販売承認を取得することを基本方針としています。
私たちは、HGF医薬品の実用化を目指す創薬バイオベンチャー
- 設立
- 2001年
- 開発パイプライン
(臨床試験のステージ) - 4件
(うち第Ⅲ相試験 2件)
- 特許
- 24件
(出願中の3件含む)
(2024年9月現在)
- 研究開発費
- 12.2億円 (2024年9月期)
- 自己資本比率
- 75.8% (2024年9月末時点)
当社は、大阪大学と慶應義塾大学の研究成果を核とする大学発創薬バイオベンチャーです。当社は、HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を医薬品グレードで量産する技術を実現し複数の臨床試験を実施している点で、世界で唯一のオンリーワン・カンパニーです。現在、脊髄損傷や声帯瘢痕などいまだ根本的な治療方法のない難病に苦しむ世界中の患者さんを救済する、新しい治療法の確立を目指しています。
HGFってなに?
日本で発見された、肝臓の再生をつかさどるタンパク質
古くから肝臓は旺盛な再生能力を有することが知られていました。例えば、ヒトでは肝臓の3分の2を切除しても1か月ほどで元の大きさに回復するほどです。
1984年、長らく不明であった肝臓の再生を引き起こす肝再生因子について、大阪大学名誉教授の故中村敏一先生によって、HGF(肝細胞増殖因子:hepatocyte growth factor)は発見されました。
組織・臓器の「保護」「再生」「修復」を促進
故中村敏一先生によって発見されたHGFは、その後の研究で肝臓だけでなく、様々な臓器や組織の再生・修復に関わり、神経系にも非常に強力に作用することがわかりました。
そして、有効な治療法のない脊髄損傷、劇症肝炎、急性腎障害、心筋梗塞などの急性疾患や、肺硬変、慢性腎不全、肺線維症、拡張型心筋症、ハンチントン舞踏病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの慢性疾患の発症阻止・治療にHGFタンパク質あるいはHGF遺伝子発現ベクターの投与が有効であることが、疾患モデル動物を用いて実証されました。
組換えヒトHGFタンパク質の臨床応用の可能性がある疾患
-
- 腎臓
- 急性腎障害・慢性腎不全・腎移植・糖尿病性腎症
-
- 肝臓
- 急性肝炎・劇症肝炎・肝硬変・胆道閉鎖症・脂肪肝・肝移植
-
- 心臓・血管
- 血管障害(閉塞性動脈硬化症・血管再狭窄防止等)・心筋梗塞・拡張型心筋症
-
- 神経系
- ALS・脊髄損傷急性期・脳梗塞・パーキンソン病・ハンチントン病・認知症
-
- 肺・気管支
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺線維症・気管支喘息
-
- その他
- 皮膚潰瘍・声帯瘢痕・炎症性腸疾患・角膜損傷
※赤字は当社が現在医薬品の開発をしている疾患
HGFの分子構造が社名の由来
HGFタンパク質は、アミノ酸が692個つながった比較的大きな構造をしています。分子内には、デンマークのお菓子「クリングル」に似ている特徴的な構造、「クリングル構造」を4個持っています。
社名であるクリングルファーマは、この「クリングル」と製薬企業を意味する「Pharmaceutical company(ファーマシューティカル カンパニー)」から命名されました。
開発の状況
当社では、脊髄損傷急性期、声帯瘢痕、 ALS、急性腎障害の4件で臨床試験までステージが進んでいます。そのうち、脊髄損傷急性期と声帯瘢痕については、臨床試験の最終段階である第Ⅲ相試験を自社で実施しています。また、提携先である米国クラリス・バイオセラピューティクス社が、眼科疾患を対象に米国とカナダで臨床試験のステージに進んでいます。さらに、基礎研究のステージにあるパイプラインが複数あります。現在は、最も開発ステージの進んでいる脊髄損傷急性期を対象とした医薬品開発に注力し、製造販売承認を得ることにリソースを集約しています。一方、基礎研究については大学等との共同研究を積極的に展開し、新規適応症の開拓、新規シーズの探索を行っています。
当社で現在医薬品の開発をしている疾患
脊髄損傷急性期
声帯瘢痕
筋萎縮性側索硬化症
(ALS)
急性腎障害
共同研究している疾患
眼科疾患
その他神経系疾患
探索ステージ
パイプラインの開発状況
対象疾患 | 開発段階 | 基礎研究 | 非臨床試験 | 臨床試験 | 申請・承認 | 販売 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第Ⅰ相 | 第Ⅱ相 | 第Ⅲ相 | ||||||
脊髄損傷 急性期 |
第Ⅰ/Ⅱ相試験 (プラセボ対照二重盲検比較試験) 終了、POC取得済み、 希少疾病用医薬品指定取得済み、第Ⅲ相試験終了 | 終了 | 終了 | |||||
声帯瘢痕 | 第Ⅰ/Ⅱ相試験 (オープンラベル用量漸増試験) 終了 (医師主導治験)、 第Ⅲ相試験 (プラセボ対照二重盲検比較試験)実施中 | 終了 | 実施中 | |||||
ALS | 第Ⅱ相試験 (プラセボ対照二重盲検比較試験、医師主導治験) 実施中、 主要・副次評価項目に統計的有意差なし、追加解析実施中 | 終了 | 終了 | |||||
急性腎障害 | 第Ⅰa、Ⅰb相試験(オープンラベル用量漸増試験)終了、
安全性、薬物動態確認済み パートナー探索中 |
終了 | パートナー 探索中 |
|||||
眼科疾患 | 米国クラリス・バイオセラピューティクス社による開発(当社よりHGF原薬供給) 第Ⅰ/Ⅱ相試験実施中 |
終了 | 実施中 | |||||
その他 神経系疾患 |
慶応義塾大学と共同研究 | 実施中 | ||||||
探索 ステージ |
金沢大学、京都大学等と共同研究 | 実施中 |
*LPO:Last Patient Out(最終症例の経過観察期間終了)
** FPI:First Patient In(最初の症例登録)
2024年9月現在
当社の研究開発についてさらに詳しく知りたい方は、下記ページをご覧ください。
HGFがもたらす未来
患者数と市場規模
後期臨床ステージにある脊髄損傷急性期、声帯瘢痕、ALSはいずれも希少疾患であり、患者数は限定的です。しかしながら、HGFタンパク質製剤はバイオ医薬品であり、一般的には低分子化合物の医薬品よりも高い薬価が見込めます。また、脊髄損傷急性期やALSでは競合品が少なくHGFとの併用も可能であること、声帯瘢痕では競合品がないことから、上市後の薬剤使用率は高くなると想定されます。よって、海外まで含めた市場規模は、ひとつの対象疾患でも数百億円に達すると予測されます。
対象疾患 | 患者数*1 | 競合品 | HGFタンパク質製剤 市場規模*3 |
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---|---|---|---|---|---|
日本 | 全世界*2 | ||||
神経系疾患 | 脊髄損傷 急性期 |
5,000人 | 60,000人 | ステミラック、 細胞治療など ※HGFと併用可能と推定 |
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ALS | 9,800人 | 85,000人 | リルゾール、 エダラボンなど ※HGFと併用可能と推定 |
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線維化疾患 | 声帯瘢痕 | 12,000人 | 100,000人 | 喉頭形成術など (効果は限定的) ※薬剤治療はHGFのみ |
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- *1 出典:
- Medscape Reference ホームページ、難病情報センター ホームページ、The National Spinal Cord Injury Association ホームページ、DATAMONITOR社レポート、内科学第10版、公表論文等、及び総務省統計局「世界人口の推移」を基に当社推計
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- *2
- 高度治療が可能な先進国
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- *3
- 当社予測:想定する患者数、診断率、治療率、薬剤使用率、薬価から算出
脊髄損傷急性期から慢性期への展開
慶應義塾大学と共同研究を行い、脊髄損傷急性期だけでなく亜急性期や慢性期に対する新規治療法の開発を目指しています。慢性期まで適応拡大ができれば、対象となる患者数比で考えますと、そのマーケット規模は急性期の20倍以上になると考えられます。
-
- 1)
- 新宮彦助. 脊髄損傷の予防.日本パラプレジア医学会雑誌13:48-49,2000
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- 2)
- 坂井宏旭. 疫学調査. 総合リハ36:969-972,2008
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- 3)
- 高度治療が可能な先進国
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- 4)
- 国内の患者数、Spinal Cord Injury Facts and Figures at a Glance (2021)、総務省統計局「世界人口の推移」を基に当社推計
-
- 5)
- Spinal Cord Injury Facts and Figures at a Glance (2021) 、The International Spinal Cord Injury Society HP、総務省統計局「世界人口の推移」を基に当社推計
声帯瘢痕から他の線維化疾患への展開
声帯瘢痕においてHGFタンパク質の製品化を実現できれば、声帯瘢痕のみならず他の線維化が原因となる慢性疾患への適応拡大の可能性につながると考えております。これらの線維化疾患は患者数も多く、莫大な市場規模が存在します。
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- *1
- 日本の有病率を基に人口比で算出
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- *2
- GBD 2015 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 310 diseases and injuries, 1990–2015: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2015. Lancet 2016; 388: 545-602.
クリングルファーマのこれから
脊髄損傷急性期の海外展開に加え、声帯瘢痕から他の線維化疾患への適応拡大を推進することにより、長期的な事業価値の最大化につながると考えております。
患者さんやそのご家族に
かけがえのない笑顔をもたらすため、
クリングルファーマはHGF医薬品の
一日も早い実用化を目指します。